最終決戦

佳奈cの言葉


泣いても笑っても、
明日が最終決戦。


腹くくるしかない。
どのような結果であれ。

誠実であること。

━━強くなって「勝って当たり前」のチームほど、試合へのモチベーションを持つのが難しいと思います。『すかいらーくグループシリーズ』3rdステージ、4thステージと連覇しましたが、チームドリームはそういう状態にはならなかったですか?
橘 :試合に向けてのモチベーションはいつも変わらなかったと思うんですけど、今から考えると、連覇してちょっと天狗になってましたね。高くなっていた鼻をへし折ってくれて、また初心を思い出させてくれたのが、連覇後に挑んだグッドウィルカップでした。
その初戦で蹴竹Gに勝ったんですけど、チームとして勝ったというより、メグ(宇津木めぐみ)がひとりで点を取ってくれてなんとか勝ったっていう感じだったのに、次に対戦するASAI戦前の控え室は「当然勝てる」って雰囲気だった。でも、佳奈は気持ちのどこかで「ヤバイかも」っていう予感があったんですよ。いつもの「いくぞー!」というメンバーの掛け声が口だけになっていた感じがあった。自分のミスもあって2−0で負けて……。あの時はホントにヘコみましたね。連覇して調子に乗ってたわけではないんですけど、どこかでちょっと舐めてたかなって。必死な思いを取り戻した今から思うと、あの頃はダメなチームドリームでしたね。

敗北から学ばない者は愚か者と言われる。
きちんと反省し成長するのであれば、敗北は糧になるものだと思います。

公平であること。

━━チームドリームが苦戦すると会場が沸く。それは強いと認められている証明でもあるけれど、イヤなものですよね。
橘 :ほんまショックですよね(笑)。5thステージのカレッツァ戦でも、PK戦になってカレッツァGKの赤坂(さなえ)さんが私たちのシュートを止めるたびに、観戦していたガッタスさんがメッチャ喜んでるのが見えるんですよ。そういうのも悔しかったけど、そこで負けたことがさらに悔しくて……。私はケガで試合に出られなかったけど、ベンチから見ていても、チームドリームはしっかり守れていたし、試合内容もよかった。だからこそ、試合が終わった後、カレッツァの(小島)くるみちゃんとか泣いて喜んでるし、会場はすごい盛り上がりで……本当に悔しかったですね。

強いと認められている証明?!
うまいこと誤魔化しますね。


現実を見据えず、多数になびく。
いじめ問題にも繋がる日本社会の致命的病理が
おのずからスフィアリーグという未知のエンタテイメントの扱いを通して
見えてきたことは、私にとってある意味収穫でした。


私は自分の愛したい物語を守り、戦うだけです。
笑いたければ笑えばいい。
TEAM dreamが悪者でいいと思ったことなど、ただの一度もありません。

ともにあること。

さおりんとは、これからもいいライバルとして競いたい。常に「私が出る」という気持ちで練習しているけれど、もし彼女が試合に出ることになったら、佳奈が持ってる力を全部さおりんにあげたいって思う。私たちが頑張ってるのは、「チームが勝つ為」、「優勝する為」であって、自分が試合に出るかどうかっていうのは二の次ですね。

win by all.

あきらめないこと。

彩とは寮の部屋が隣同士なんですけど、彩の部屋に遊びに行くとフットサルの本とかDVDとかびっくりするくらいいっぱいあるんですよ(笑)。練習中にコーチやメグがすごい技を見せると、「何それ、教えて!」って彩は食いついて、できるまでずっと練習してますもん(笑)。

特に彩はフットサルに一生懸命取り組むことで、チームドリームの中でみんなが認める存在になった。そして、フットサルで自分の意見をどんどん言うようになってから、dreamの時にも自分の意見を積極的に言うようになりました。コンサートの構成についてなんて、今は彩がすごく意見を出している。そういうところを見ると、彩は本当にフットサルをやって変わったと思う。本当は持っていた熱い部分をいつでも出すようになって、どんな時でも熱い人になりましたね。


目つきとか全然違いますよね(笑)。彩はたとえ練習試合でも、先に点を取られると悔しくて泣くんですよ。ホント彩は熱い。フットサルでは「勝ちたい! 負けたくない!」っていう気持ちがすごい伝わってきますよね? 今は自分が思ったことは遠慮せずにどんどんアピールするようにになりましたね。

僕が高本彩という物語に
ほとんど偶然めぐり合ったことから、この日記は始まりました。
彩ちゃんの少しも揺るがぬ信念の生き様は
私にとっての「希望」そのものでしたし、これからもそうだと思います。


佳奈cが最後に書いていた言葉がすべてを物語っています。
これ以上の言葉は必要ない。


だって、願い続ければ夢はきっとかなうってことを、
私たちはフットサルから教えてもらいましたから。