著作権

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20071115/142431/
早く寝るはずが、この記事のおかげでまだ寝れないw

ただし,YouTubeニコニコ動画が配信するPerfumeの動画の大半はいわゆる「著作権侵害動画」である。これを問題視する人もいるかも知れない。確かに,現行法の範疇で考えると侵害はあるだろう。ではその権利侵害でだれが具体的に損をしたのだろうか。

「権利侵害を無くす」「利益をクリエーターに還元する」という原理原則にこだわりすぎて,結局,誰も得をしないような制度やしくみを追加するほど愚かなことはない。

ホントに同じことをずっと感じてきました。
まだまだ私も著作権というものに対して不勉強なのですが、
要は「無断複製を制限し、コンテンツの有料性を維持することにより、本来世の中に広がっている作品の売上がその分ちゃんとクリエーターに入るようにする」ための権利ってことで正しいですよね?


僕は、ぶっちゃけこの著作権の存在意義自体に疑問を感じています。
この制度は昔、音楽や書物といった著作物の販促ルートが整備されておらず、
もっぱらクリエーター本人や、
比較的中小の販社やお店がそれを扱っていた時代においてのみ
有効なことではなかったのではないでしょうか。


現代は音楽芸能文化の市場がはるかに拡大し、
マスコミ二ケーションの拡大により、音楽を世の中に強烈な力で伝えることができる
媒体、そしてそれに流すコンテンツを選別し統括する巨大レコード会社、巨大広告代理店が発達しました。
これはそのコンテンツがヒットするかどうかということが、
そのコンテンツの品質そのものによるものだけではなく、
そういった巨大メディアに載せられたかどうかということにそもそも左右されてしまう。
こういう事態も招いたのではないでしょうか。


売れるかどうかは音楽性の良さとか世間に受け入れられるかではなくて、
「宣伝媒体に予算がかけられたかどうか」
すなわち広告代理店・大手レコード会社の幹部の誰かの恣意に任されてしまう。
無論、その「誰か」が極めて良心的で聡明な方であれば、
いい音楽が広がっていくわけではありますが、それは「いい王様」の出現を
ずっと待ち望んでいた民主主義以前の政治体制となんら変わりません。
結局、誰もが心の底では聞くに堪えないと分かっているレベルの音楽が
マスコミでは流れ続ける一方で高い評価を得ているアーティストが
たまたまそういう幹部の目に留まらないとかそういう理由で、
活動を続けられなくなり、消えていくという矛盾が溜まってきていたと思います。


そしてインターネットは、上記レジームを破壊しうる強烈な力を持っていました。
インターネットから、「本当に聞きたい音楽」が大量に噴出し、
それは大人たちに止められなくなりつつあります。


当然ただの我侭は取り締まるべきでしょうし、
私がこのブログで何回かやってきている公然の行為を弁護するために書いているわけでもありません。
でも僕も、リンク先のライターさんと同じく、YOUTUBEの「配信」でPerfumeを知り、
気がつけば正規のルートで彼女達のDVDを複数枚購入し、友人数名を新たにファンにしました。
いわばPerfumeというクリエイターにとって、最高の利益還元を、
既存のルールからは逸脱したきっかけから、結果的には行っていたのです。


これは既存のルールでは、ありえないことになっている事態です。
すなわち既存のルールでは違法ルートでコンテンツを手に入れた人間は、
再度同じコンテンツプロバイダーに合法的に有償で利益を還元することはありえないという「経済的人間」の前提があるからです。


ところが、ファンになってしまった人間は、およそ「経済的な損得」を優先せず、
衝動的に消費をしてしまうものではないですか?
そういう芸能にはまる人間の性質を、ルールが追いきれていないのではないかと思います。


議論すべきは既存のルールに合わせて
今のインターネットをいかにおとなしくさせるかという議論ではなく、
新時代というか、芸能を楽しむ人間の本質をもう一度再考し、
ルールをクリエイターもリスナーもwinになる形で作り直すことではないでしょうか。


こういう矛盾を顕在化させたという点において、
Perfumeのヒットは、他の芸能人のブレイクとは根本的に意味が異なります。
日本の、下手をすると世界の文化史を変えかねない、
すさまじき事態なのです。


長文失礼しました。いいPerfumeが広がりますように。